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非上場株式とは?上場株式との違いからやさしく解説

執筆・運営:少数株ドットコム株式会社

カテゴリ

はじめに・用語解説

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約9分
構成
6セクション

「非上場株式」という言葉を、相続の手続きの中で初めて目にした、という方は少なくありません。証券会社の取引画面には出てこない、値段もどこにも書かれていない、けれど相続税の計算では財産として数えられる。その正体がつかめないまま話が進んでいく、というのはよくあることです。この記事では、非上場株式とは何かを、上場株式と比べながら順を追って説明します。

非上場株式とは、証券取引所で売買されていない株式のこと

非上場株式とは、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場していない株式会社の株式のことです。「未公開株」と呼ばれることもあります。定義はこれだけで、会社の規模や業績の良し悪しとは関係がありません。

意外に思われるかもしれませんが、日本の株式会社のほとんどは非上場です。国内の株式会社は250万社前後あるとされる一方、日本取引所グループが公表する上場会社数は4,000社に届きません。割合にすれば1パーセントにも満たない世界です。つまり非上場であることは例外的な状態ではなく、むしろ株式会社の通常の姿だといえます。

それでも非上場株式が分かりにくく感じられるのは、上場株式であれば当たり前に備わっているもの、すなわち誰でも見られる価格と、いつでも売れる場所が、非上場株式には存在しないからです。以下では、その違いを具体的に見ていきます。

「非上場」と「非公開会社」は別の話

最初につまずきやすいのが用語です。「非上場会社」と「非公開会社」は言葉が似ていますが、指しているものが違います。

上場か非上場かは、証券取引所に株式を上場しているかどうかという、市場の話です。

一方、公開会社か非公開会社かは、会社法が定める区分です。会社法2条5号は、公開会社を、その発行する全部または一部の株式の内容として譲渡による取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社、と定義しています。読みにくい定義ですが、要するに、譲渡制限が付いていない株式を発行できる会社が公開会社であり、発行するすべての株式に譲渡制限が付いている会社が公開会社でない会社、いわゆる非公開会社です。

ややこしいのは、この定義でいう公開会社が、上場しているかどうかとはまったく無関係だという点です。非上場でありながら会社法上は公開会社という会社も存在します。ただ実際には、非上場会社の多くが全株式に譲渡制限を付けているため、非上場と非公開会社はかなりの部分で重なります。ご自身の会社がどちらかは、登記事項証明書(登記簿謄本)の「株式の譲渡制限に関する規定」の欄を見れば確認できます。

譲渡制限とは何か

会社法127条は、株主はその有する株式を譲渡することができる、と定めています。株式譲渡自由の原則と呼ばれるもので、出資したお金を回収する手段を株主に保障する趣旨です。株主は会社に出資金の払戻しを求められないのが原則ですから、売って現金に換える道が開かれていることには重要な意味があります。

もっとも、この原則には例外が認められています。会社は定款で、譲渡による株式の取得について会社の承認を要する旨を定めることができます(会社法107条1項1号。種類株式として一部の株式にだけ付ける場合は同法108条1項4号)。この定めが付いた株式が譲渡制限株式です。

なぜこうした制度があるのかというと、中小企業では、望まない第三者が株主として入ってくることを避けたいという要請が強いためです。親族や取引先で株主を固めている会社に見知らぬ相手が加わると、経営の意思決定に支障が出かねません。

株主の側から見ると、この制限は「売るときに会社の承認がいる」という形で現れます。承認するかどうかを決めるのは、取締役会設置会社では取締役会、それ以外の会社では株主総会です(会社法139条1項。定款で別段の定めを置くこともできます)。買い手を見つけただけでは売買が完結せず、会社の手続きを一つ挟むことになる。ここが、上場株式との最も実感しやすい違いです。

なお、相続によって株式を引き継ぐ場合は「譲渡」ではなく一般承継にあたるため、取得すること自体に会社の承認は必要ありません。相続で株主になった方が、いきなり承認手続きを求められることはないということです。

上場株式と何が違うのか

値段が決まっていない

上場株式には取引所が付ける価格、いわゆる時価があります。売りたいと思った日の価格が誰の目にも見え、原則としてその水準で売れます。

非上場株式にはこれがありません。相続税の計算に使う国税庁の財産評価基本通達でも、非上場株式は「取引相場のない株式」という名前で扱われ、会社の規模に応じて類似業種比準方式、純資産価額方式、その併用といった方法で評価額を計算することになっています(財産評価基本通達178、179)。ここで出てくる金額は、あくまで課税のために算出するものであり、その値段で買ってくれる相手がいることを意味するものではありません。実際の売買価格は、当事者の交渉によって決まります。評価額は高いのに現金化できない、という状況が起きるのはこのためです。

買い手を自分で探すことになる

上場株式なら証券会社に注文を出せば、相手が誰かを知らないまま売買が成立します。非上場株式にはそうした市場がないため、買い手を自分で見つける必要があります。現実的な相手は、発行会社自身、他の株主(多くは経営者やその親族)、あるいは非上場株式を扱う第三者に絞られます。

手に入る情報の量が違う

上場会社は有価証券報告書などの継続的な開示を通じて、業績や株主の状況を公表しています。非上場会社にそうした義務は基本的になく、株主に届くのは株主総会の招集通知くらい、ということも珍しくありません。会社の状況を知りたい株主のために、株主名簿の閲覧謄写請求(会社法125条)や、一定の持株割合を満たす場合の会計帳簿閲覧謄写請求(会社法433条)といった制度が用意されています。

株券や名義の扱いが違う

上場株式は電子化されており、証券口座の残高として管理されます。非上場株式では、会社法上、株券を発行しないのが原則で、発行する場合に定款でその旨を定めることとされています(会社法214条)。誰が株主かは会社が備える株主名簿で管理され、株式を譲り受けた人は、株主名簿に自分の氏名または名称と住所を記載してもらわなければ、会社その他の第三者に対抗することができません(会社法130条1項)。相続や売買のあとに名義書換を忘れると、配当も総会の通知も届かないという事態が起こります。

税金の扱いも別グループになる

税制の上でも、上場株式と非上場株式は別のグループとして扱われます。

配当については差がはっきり出ます。上場株式等の配当(大口株主等が受けるものを除く)は、所得税および復興特別所得税15.315パーセントと住民税5パーセントが源泉徴収され、確定申告不要制度、申告分離課税、総合課税のいずれかを選ぶことができます。一方、非上場株式の配当は20.42パーセント(住民税の源泉徴収はありません)が源泉徴収されたうえで、原則として総合課税の対象になります。総合課税は所得が多いほど税率が上がる累進税率ですので、他の所得が大きい方ほど負担は重くなります。なお、1回に支払を受けるべき配当の金額が、10万円に配当計算期間の月数を掛けて12で割った金額以下である場合には、所得税について確定申告をしないことも選べます(いわゆる少額配当。この場合でも住民税の申告は別途必要です)。

売却したときの税金は、上場株式でも非上場株式でも申告分離課税ですが、「上場株式等」と「一般株式等」という二つのグループに分かれていて、互いに損益を通算することができません。上場株式等で出た売却損を非上場株式の売却益から差し引くことはできず、その逆もできません。また、損失を翌年以後3年間にわたって繰り越せる制度は上場株式等にしか用意されておらず、一般株式等の損失を繰り越すことはできません。そのほか、NISAの対象になるのは上場株式等や公募株式投資信託であり、非上場株式は対象外です。

さらに、発行会社自身に株式を買い取ってもらう場合には、受け取った対価の一部が「みなし配当」として配当所得に区分されることがあり、税負担の計算が変わってきます。この点は別の記事で詳しく扱っています。

手放したいと思ったときにできること

非上場株式についてのご相談で多いのは、自分で買ったわけではないというケースです。親から相続した、以前勤めていた会社の従業員持株制度で取得した、創業時に頼まれて出資した。そうした経緯で株主になり、配当もほとんどなく、経営にも関わっていない。それでも相続の場面では財産として評価される、という状況です。

手放す方法は、大きく三つあります。

一つ目は、発行会社に買い取ってもらう方法です。ただし、株主から請求されたからといって会社に買取義務が当然に生じるわけではないため、応じてもらえるかは会社の判断次第です。

二つ目は、他の株主、たとえば経営者やその親族に買い取ってもらう方法です。関係が良好であれば話は早いのですが、価格の折り合いがつかないことも多くあります。

三つ目は、第三者に売却する方法です。譲渡制限株式であれば会社に譲渡承認請求を行い、承認されれば譲渡が成立します。承認されなかった場合でも、譲渡承認請求の際に会社または会社が指定する買取人による買取りをあわせて請求しておけば、会社側に買い取る義務が生じる仕組みが用意されています(会社法138条、140条)。この手順については、譲渡制限株式の売却手順を解説した記事で詳しく取り上げています。

まずは、自分が持っている株式が譲渡制限株式なのかどうか、何株を持ち、議決権の何パーセントにあたるのかを確定させるところからです。登記事項証明書と株主名簿を確認すれば、その多くは分かります。そのうえで、いくらで現金化できそうなのかという見当をつけておくと、持ち続けるのか手放すのかという判断がしやすくなります。

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