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株式譲渡承認は誰が決める?取締役会設置会社と非設置会社の違い

執筆・運営:少数株ドットコム株式会社

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約7分
構成
7セクション

譲渡制限株式を売却するには、発行会社の承認を得る必要があります。ただし「誰が承認するのか」は会社によって異なり、この違いは形式的なものにとどまりません。決議の要件、結論が出るまでの期間、そして不承認になった後の段取りまでが変わってきます。売却を検討する段階で押さえておくと、請求後の展開を見通しやすくなります。

承認機関を決めているのは会社法139条1項と定款

会社法139条1項は、譲渡等の承認をするか否かの決定について、取締役会設置会社では取締役会、それ以外の会社では株主総会の決議によると定めています。まずはこれが原則です。

ただし同項にはただし書きがあり、定款に別段の定めを置くことも認められています。実務では、取締役会設置会社でありながら承認機関を株主総会としている会社もあれば、代表取締役の決定で足りると定めている会社もあります。条文だけを見て決めつけず、定款を確認する必要があるのはこのためです。

株主および債権者は、会社の営業時間内であれば定款の閲覧や謄本の交付を請求することができます(会社法31条2項。謄本の交付には会社の定めた費用がかかります)。手元に定款の写しがない場合は、まずここから始めるのが確実です。

自分の会社がどちらに当たるかは登記で確認できる

取締役会設置会社であるときは、その旨が登記事項とされています(会社法911条3項15号)。登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を取得すれば、株主でなくても確認できます。

会社法327条1項は、公開会社・監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は取締役会を置かなければならないと定めていますが、逆にいえば、これらに当たらない非公開の中小企業は取締役会を置かない選択もできます。実際、株式に譲渡制限が付いた同族会社では取締役会を設けていない例が珍しくありません。「株式のことだから当然取締役会で決まるだろう」という前提で動くと、実際の手続きと食い違うことがあります。

取締役会が承認機関の場合

取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数の賛成で成立するのが原則です(会社法369条1項。定款でこれを上回る割合を定めることもできます)。

ここで注意したいのが特別利害関係です。決議について特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができないとされており(同条2項)、譲渡承認の決議では、譲渡人となる取締役や譲受人となる取締役がこれに当たるという理解が有力です。議決に加われない取締役は定足数の計算からも外れるため、役員数の少ない会社では、その除外によって決議自体が成立しないという事態も起こり得ます。

手続きのスピードという点では、取締役会は動かしやすい会議体です。招集通知は原則として会日の1週間前までですが、定款で短縮でき(会社法368条1項)、取締役および監査役の全員が同意すれば招集手続そのものを省略できます(同条2項)。さらに、定款に定めがあれば、取締役全員が書面または電磁的記録で同意し監査役が異議を述べないことを条件に、会議を開かずに決議があったものとみなすこともできます(会社法370条)。会社に動く意思さえあれば、数日で結論が出る構造になっています。

株主総会が承認機関の場合

株主総会が承認機関の場合、承認決議は普通決議によるのが原則です。議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数で決まります(会社法309条1項)。定款で定足数を緩和している会社も多く見られます。

押さえておきたいのは、判断するのが「役員」ではなく「議決権の多数派」だという点です。同族経営の会社では経営者側が議決権の大半を握っているケースが多く、実質的には経営者の意向が承認の可否を左右しやすくなります。また、取締役会と異なり、株主総会では利害関係のある株主も議決権の行使自体を妨げられないと解されています。承認を求める相手が誰なのかという構図が、取締役会の場合とはっきり異なるわけです。

期間の面でも違いがあります。株主総会の招集通知は会日の2週間前までが原則ですが、公開会社でない株式会社では1週間前まででよく、取締役会設置会社以外の会社であれば定款でさらに短縮することもできます(会社法299条1項)。加えて、議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録で同意すれば、総会を開かずに決議があったものとみなされます(会社法319条1項)。株主が数名という会社では、実際にはこの方法で処理されることも少なくありません。

期限のルールは承認機関に関係なく共通

承認機関がどちらであっても、期限の枠組みは変わりません。株主または株式取得者が承認を請求し(会社法136条・137条1項)、会社は決定の内容を通知します(同法139条2項)。

そして、請求の日から2週間以内にこの通知をしなかった場合、会社は承認をしたものとみなされます(会社法145条1号。定款でこれを下回る期間を定めた場合はその期間、会社と請求者の間で別段の合意をした場合はそれによります)。取締役会を開かない、総会を招集しないといった対応で放置しても、手続きが止まるわけではなく、むしろ会社にとって不利な結果になります。

この期間は請求の日から数えます。したがって、承認請求は配達の記録が残る方法で行い、到達日を後から動かせない形にしておくことが実務上重要です。内容証明郵便に配達証明を付ける方法が一般的です。

不承認になった後の手続きにも承認機関の違いが表れる

承認請求の際に、承認しない場合は会社または指定買取人に買い取るよう請求する旨を併せて明らかにしておくと(会社法138条1号ハ・2号ハ)、会社が不承認の決定をしたときは、会社自身が買い取るか、指定買取人を指定しなければなりません(同法140条1項・4項)。

ここで承認機関の違いが再び効いてきます。会社が自ら買い取る場合、買い取る旨と株式数の決定は株主総会の決議によらなければならず(会社法140条2項)、しかもこれは特別決議です(同法309条2項1号)。取締役会設置会社であっても、この決定を取締役会で行うことはできません。なお、この総会では譲渡等承認請求者は議決権を行使できないとされています(同法140条3項)。

他方、指定買取人を指定する場合は、取締役会設置会社では取締役会、それ以外の会社では株主総会の特別決議によります(会社法140条5項、309条2項1号。定款に別段の定めがあればそれによります)。承認の判断は取締役会だけで完結しても、会社が自ら買い取るとなれば株主総会が必要になる。この段取りの差が、そのまま所要期間の差になって表れます。

もっとも、ここにも期限があります。不承認の通知の日から40日以内に会社が買い取る旨の通知をしなければ、やはり承認をしたものとみなされます(会社法145条2号。指定買取人が同通知の日から10日以内に所定の通知をした場合を除きます)。

請求の前に確認しておきたいこと

整理すると、確認すべきは3点です。第一に、登記事項証明書で取締役会設置会社かどうか。第二に、定款で承認機関について別段の定めがないか、また2週間や40日を下回る期間の定めが置かれていないか。第三に、株主総会が承認機関になるのであれば、株主名簿で議決権の分布を把握すること。株主名簿の閲覧謄写は、請求の理由を明らかにしたうえで請求できます(会社法125条2項)。

承認機関を先に押さえておけば、請求した後にどのような判断プロセスをたどり、誰の意向が結論を左右するのかを見通せます。手続きの入口で登記事項証明書を1通取得しておくだけでも、その後の進め方はかなり変わってきます。

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