株主名簿閲覧謄写請求権とは?会社が教えてくれない株主構成を調べる方法
非上場会社の株主の方の中には、「自分が何パーセント持っているのか分からない」「他に誰が株主なのか会社が教えてくれない」という状況に置かれている方が少なくありません。相続で株式を承継した場合や、長年にわたって配当の通知しか届いていない場合には、特に起こりやすいことです。
こうしたときに使えるのが、会社法125条が定める株主名簿の閲覧謄写請求権です。株主および債権者は、発行会社の営業時間内であればいつでも、請求の理由を明らかにしたうえで、株主名簿の閲覧または謄写を請求することができます(会社法125条2項)。株主名簿には株主の氏名・住所や各株主が有する株式の数などが記載されますので、閲覧できれば自分の保有比率と株主構成の輪郭をつかむことができます。
この権利の特徴は、保有割合の下限要件が定められていない点にあります。1株しか保有していない株主でも請求できる、いわゆる単独株主権として整理されるのが一般的です。
会社の側は、この請求を原則として拒むことができません。拒絶できるのは、会社法125条3項各号に定める事由に該当する場合に限られます。具体的には、請求者が権利の確保または行使に関する調査以外の目的で請求したときや、会社の業務の遂行を妨げ、もしくは株主の共同の利益を害する目的で請求したときなどです。裏を返せば、「株式の売却を検討するにあたって自分の議決権割合を確認したい」といった目的であれば、正面から請求できる場面が多いと考えられます。
なお、よく混同されるのが会計帳簿閲覧謄写請求権(会社法433条)です。こちらは会社の帳簿そのものを見る権利で、総株主の議決権の100分の3以上、または発行済株式(自己株式を除く)の100分の3以上を保有していることが必要な少数株主権です(定款でこれを下回る割合を定めることもできます)。株主名簿の閲覧請求とは要件がまったく異なりますので、混同しないよう整理して理解しておく必要があります。
実務上は、請求の理由を記載した書面を会社に送付するところから始めるのが一般的です。会社が正当な理由なく応じない場合には、閲覧謄写を求める仮処分や訴訟といった手段も検討することになりますので、その段階では弁護士に相談するのが現実的でしょう。
株式の売却を考えるうえで、自分の議決権割合を正確に押さえることは出発点になります。割合によって行使できる少数株主権が変わりますし、支配株主に近い立場なのか少数株主にとどまるのかによって、評価の考え方にも影響が及ぶためです。会社が情報を開示してくれないからと諦める前に、法律上認められた手段があることを知っておいて損はありません。