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単独株主権と少数株主権の違い|株主代表訴訟は1株でも起こせる?

非上場会社の株式を相続などで引き継いだ方から、「自分の持ち株では何ができるのか」というご相談をいただくことがあります。株主の権利は保有割合によって行使できるものが変わるため、まずはこの線引きを押さえることが出発点になります。

株主の権利は、大きく「単独株主権」と「少数株主権」の二つに分けられます。単独株主権は、原則として1株でも保有していれば行使できる権利です。剰余金の配当を受ける権利、株主総会での議決権、総会で取締役等に説明を求める権利(会社法314条)などがこれにあたります。

一方の少数株主権は、総株主の議決権や発行済株式の一定割合以上を保有していなければ行使できない権利です。代表的なものは次のとおりです。

1. 会計帳簿閲覧謄写請求権(会社法433条):総株主の議決権の100分の3以上、または発行済株式の100分の3以上。会社の帳簿を直接確認できる、実務上とくに重要な権利です。

2. 株主総会招集請求権(会社法297条):総株主の議決権の100分の3以上。

3. 役員の解任を求める訴え(会社法854条):役員に不正行為や法令・定款違反の重大な事実があったにもかかわらず株主総会で解任議案が否決された場合などに、総株主の議決権または発行済株式の100分の3以上を保有する株主が、その総会の日から30日以内に提起できます。

4. 株主提案権(会社法303条・305条):取締役会設置会社では、総株主の議決権の100分の1以上、または300個以上の議決権。

これらの多くは、公開会社では「6か月前から引き続き保有していること」も求められますが、譲渡制限株式のみを発行する非公開会社では、この保有期間の要件が課されません(会社法297条2項、303条3項、854条2項など)。相続で株主になった直後でも、割合の要件さえ満たしていれば行使できるということです。なお会計帳簿閲覧謄写請求権は、公開会社であっても保有期間の要件がありません。

では、株主代表訴訟はどうでしょうか。役員の責任を会社に代わって追及するこの訴えは、株式数の要件がない単独株主権とされています(会社法847条)。公開会社では6か月の保有期間が必要ですが、非公開会社ではその要件も読み替えによって外れます(会社法847条2項)。つまり非公開会社であれば、1株の株主でも提起しうるのが原則です。ただし、いきなり訴えを起こすのではなく、まず会社に対して提訴を請求し、その日から60日以内に会社が訴えを提起しない場合に、株主自身が提起するという手順を踏みます。

なお、少数株主権の割合要件は、1人の株主が単独で満たす必要はありません。複数の株主が保有する議決権や株式数を合算して要件を満たす場合には、連名で権利を行使することができます。同じ会社に他の少数株主がいるのであれば、共同で3%を積み上げるという選択肢も実務上はあり得ます。

もっとも、これらの権利は行使すること自体が目的ではなく、配当や情報開示、あるいは持分の適正な評価を実現するための手段です。権利行使には時間も費用もかかるため、最終的に現金化を望むのであれば、買取先を探して売却するほうが早いというケースも少なくありません。ご自身の保有割合で何ができるのかを整理したうえで、どの道筋が目的に近いかを検討されることをおすすめします。

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