譲渡制限株式を売却する手順(会社法136条〜144条の流れ)
非上場企業の株式の多くには「譲渡制限」が付いています。第三者に売却する場合、会社の承認を経る必要があり、一般的な流れは次のとおりです。
1. 譲渡承認請求(会社法136条・137条):株主(または譲渡先の予定者)が、発行会社に対して「この株式を第三者に譲渡したい」と承認を求めます。このとき、不承認の場合に会社(または会社が指定する買取人)に買い取ってもらう旨もあわせて請求しておくことができます(会社法138条1号ハ・2号ハ)。
2. 会社による審査:株主総会または取締役会(定款の定めによる)で承認するかどうかが決議されます。承認されれば、そのまま譲渡手続きに進みます。
3. 不承認の場合の買取義務(会社法140条):1で買取りもあわせて請求していた場合、会社が承認しないときは、会社自身が買い取るか、会社が指定する買取人(指定買取人)が買い取らなければなりません。この買取りの請求をしていなければ、不承認の結果は株式を保有し続けることになるだけで、当然に買取義務が生じるわけではない点に注意が必要です。
4. 売買価格の協議、まとまらなければ非訟事件へ(会社法144条):会社(または指定買取人)との間で売買価格を協議しますが、折り合わないことも多いのが実情です。その場合、当事者は裁判所に「株式売買価格決定の申立て」を行うことができますが、会社(または指定買取人)から買取り通知を受けた日から20日以内という期限があります(会社法144条)。これは訴訟ではなく非訟事件として扱われ、裁判所が事情を踏まえて価格を判断します。
この手続きは、会社や親族との直接交渉が前提になりやすく、関係が良好でない場合は心理的な負担も大きくなります。第三者の買取業者を最初から譲渡先として選び、契約締結後に連名で譲渡承認請求を行うという進め方であれば、会社との直接のやり取りを減らしながら手続きを進めることも可能です。