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相続税は非上場株式で物納できる?制度と実務上の壁

相続税は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、金銭で一括して納付することになっています。ところが相続財産の大半が非上場株式という場合、評価額は高く出るのに手元に現金はない、という状態が起こります。「この株式そのもので納められないか」と考えるのは自然なことです。それが「物納」という制度です。

まず押さえておきたいのは、物納が最後の手段として位置づけられている点です。相続税の納付方法は、①金銭による一括納付が原則、②それが困難な場合に「延納」(分割払い)、③延納によっても金銭で納付することが困難な場合に「物納」、という三段階になっています。つまり、延納であれば払えるだけの資力があると判断されれば、その時点で物納は認められません。

次に、物納に充てられる財産には順位があります。第1順位が不動産・船舶・国債証券・地方債証券・上場株式等、第2順位が非上場株式等、第3順位が動産です。後順位の財産は、先順位の財産のうち適当な価額のものがない場合に限って物納に充てることができます。非上場株式は第2順位ですので、ほかに不動産などがあれば、そちらが先に充てられることになります。

そして、実務上いちばん大きな壁が「管理処分不適格財産」です。国が管理・処分するのに適さない財産は、順位以前に物納の対象から外れます。相続税法施行令第18条では株式についてこれに当たるものが列挙されており、そこに「譲渡制限株式」が明記されています。質権その他の担保権の目的となっている株式、権利の帰属について争いがある株式なども同様です。

非上場企業の株式の多くには定款で譲渡制限が付いていますので、この規定に照らすと、非上場株式の物納は制度としては存在するものの、実際に認められる場面はかなり限られる、というのが実情です。

そのため、非上場株式を相続して納税資金に困った場合、現実的な選択肢は、延納を活用して納付を分割しながら資金を用意する方法か、株式そのものを発行会社や第三者に売却して現金化し、その代金を納税に充てる方法が中心になります。納税資金を確保するための売却も、選択肢のひとつです。

なお、物納も延納も、原則として納期限(期限内に申告する場合は申告期限と同じ日)までに申請書を提出する必要があります。いったん延納を選択した場合でも、一定の要件のもとで延納から物納への変更(特定物納)が認められることがありますが、あくまで例外的な扱いです。ご自身のケースで物納が使えるかどうか、また延納と売却のどちらが有利かは財産の構成によって結論が変わりますので、詳細は早い段階で税理士にご確認ください。

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